【開催報告】第42回SBP経営者朝会(2023/10/20)

第42回目となるSBP経営者朝会はリアルとオンラインのハイブリッド形式での開催となりました。今回は「インパクト投資の現在」をテーマに3団体の起業家の方にご登壇いただきました。

山口 幹生 様 Managing Partner
前川 昭平 様 Chief Operating Officer
株式会社SDG インパクトジャパン

1.株式会社SDGインパクトジャパンの概要

株式会社SDGインパクトジャパンは、グローバルな課題解決に向けて、金融の力を活用し、サステナブルな社会構築に向けた資本移転を促進しています。サステナビリティ・金融・ビジネスのグローバルなプロフェッショナル人材、サステナビリティ/サーキュラーエコノミーのTech Start upとの広範なネットワーク、また、その領域の新規事業インキュベーションを兼ね備えています。主な活動としては、有望なサステナブルビジネスのハンズオンでのインキュベーションや事業開発、高成長のサステナビリティファンド戦略の組成・運営推進、そしてサステナビリティとESGに関するアドバイザリー/教育プログラム作成の三つが挙げられています。

2.インパクト投資とは

インパクト投資とは、必ずしもグローバルで統一された一つの概念があるわけではありませんが、共通認識として、「インパクトの意図があること」、「測定可能なインパクトを目指していること」、「財務的リターンを出していること」が重要要素となっています。また、インパクト投資には目指す財務リターンの水準によってグラデーションが存在しており、非常に幅広い財務リターンの水準があることがわかります。(図1)さらに、インパクト投資の中では、その意図とKPIでインパクトを測定することが非常に重要になっており、インパクト投資をしている会社がどのような取り組みの中でインパクトを実現していくかをこのフレームワークを用いて説明しています。(図2)

(図1)
(図2)

3.株式会社SDGインパクトジャパンの取り組み

株式会社SDGインパクトジャパンは、インパクト投資、サステナブルファイナンスの中でも特に「ベンチャー投資」に力を入れています。新しいテクノロジーを使った素材や工業食品を生み出し、副産物から新しい製品を作成するなど、飲食店のエネルギー消費量を削減することに投資をしています。また、「上場株への投資」の促進も進めています。ヨーロッパのSFDR のルールに対応した投資戦略を日本で実践しており、中小型上場企業30社程へ投資をして、主に環境、社会、ガバナンス、ジェンダーの向上に具体的な結果を生み出すことを目指しています。重要なESG課題へIntegrated Value Driverのアプローチを通して、ESGの要素を投資の分析・検討に取り組むことで、企業はリスクを抑え、企業価値向上へ繋げることができます。

阿座上 陽平 様
株式会社ゼブラ アンド カンパニー 共同創業者/代表取締役

1.Zebras and Companyの設立とこれまでの活動

Zebras and Companyは、1億円弱のゼプラ型資金調達を行い、ゼブラ企業への投資事業を開始しました。設立2年で、17社への経営支援、3社への投資、IPOを前提としない新たな投資手法(LIFE)を開発。そして、塩尻市と協業した地域型インパクト投資実装事業、様々なゼブラ企業やその取組みを紹介するカンファレンスZEBRAHOODの開催と書籍の出版など、ゼブラ企業を後押しする活動を展開してきました。

小規規事業者白書、日経新聞等に取り上げていただくとともに、共同創業者の田淵さんがグローバル組織であるZebras Uniteの理事に選出され、海外知見の取り込みと日本企業のあり方を世界に発信しています。2023年6月には、国家戦路である「骨太の方針」にゼブラ企業の推進が明記されました。

2.ゼブラ企業とは

ゼブラ企業とは、短期・独占・株主至上主義といった現在の資本主義のあり方を象徴しているユニコーンに対してできた言葉で、ユニコーンの風潮に危機感を覚えた米国の4人の女性起業家が2017年に提唱しました。4人が組織したZebras Uniteは、現在、世界中で既存のスタートアップ・金融のエコシステムへの問題提起に世界中の起業家や投資家が賛同し、70以上の支部、7,000人以上メンバーとなって、大きなムーブメントになりつつあります。

3.プロジェクト(ゼブラ投資)

最近のゼブラ投資の注目観点として、システムレベルチェンジインベスティングとプレイスベースドインベスティングがあります。一つ目のシステムレベルチェンジインベスティングとは、陽と人が解決を目指す課題のことです。例えば、農業課題解決と女性を取り巻く課題解決を共に目指すもののことです。環境に優しく、女性が女性のために喜ぶ洗剤等を作ることで、今問題となっている環境問題と女性の社会進出問題の二つにアプローチをかけられます。また、二つ目のプレイスベースドインベスティングは、ベースとなる場所を起点に、地方商社JVのホールディングカンパニーとして、各地域で地域の課題・アセットに合った事業を展開するものです。実際にZebras and Companyさんは、今現在、長野県の2地域と秋田県の1地域で事業を展開中であり、5年で10地域を目指し活動しています。それぞれの地域文化がある中で、持続可能なモデルを作り、その地域らしい新しい形を作ることをテーマにしています。

岡本 拓也 様
千年建設株式会社 代表取締役社長・株式会社LivEQuality大家さん 代表取締役社長・NPO法人LivEQuality HUB 代表理事

1.事業を始めたきっかけ

岡本さんは学生時代のバックパッキング経験からマイクロクレジットに触れ、貧困課題の解決を通じた社会貢献の力に感銘を受けました。その後、経理士として企業再生をするというキャリアを経て、NPOセクターの経営にフルコミットするようになりました。
そんな中、父親が亡くなったことをきっかけに、名古屋に戻り、千年建設株式会社を継求事にしました。その2年後にコロナが起き、再び自分の役割を考える機会がありました。
自分の本当に興味のあった社会貢献に専念するために再び方向転換を図り、シングルマザー向けの住宅支援プロジェクトをスタートさせました。

2.株式会社LivEQuality 大家さん・NPO法人LivEQuality HUB

このプロジェクトは、シングルマザーの相対的貧困率が高く、収入が不足している状況に焦点を当て、住まいを提供することで彼らの生活を向上させ、社会的な悪循環を断ち切ることを目指しています。

不動産市場は低金利の環境で価格が急騰しており、大家たちは収益を最大化しようとし、一方で住民たちは高騰した家賃に悩んでいます。また、公営住宅には入居制限があり、供給不足と修繕の必要があります。特に虐待歴のあるシングルマザーや外国籍の母親は深刻な状況に直面しています。LivEQualityは、クロスサブシダイゼーションモデルを活用し、シングルマザーの家賃を「どれだけ削減できるか」を算出しています。住宅は駅から5分以内の好立地にあり、高い稼働率を実現することで、建物の収益性を確保しながら、社会性の高い事業を行うことが可能になっています。

現在、名古屋市内に96の部屋があり、49人のシングルマザーとその子供たちが住んでいます。事業性と社会性の同時追求が可能になっていることから、インパクトボンドを活用して総額 3.2億円の資金調達を実施しています。

3.今後の展望

まだ知り合いではない多くの人々との対話から、このプロジェクトがますます広がっていく可能性があります。このような社会的な取り組みにおいて、一社や一人だけでは問題を解決できないと考えるので、協力して解決へと進むことが大切だと思っています。

また、岡本さんは、”早く着きたければ、1人で行け、遠くに行きたければ、みんなで行け”

という言葉を愛用しており、これからもさらに多くの人々と共に、遠くへ向かって進化する事業を築いていきたいと考えています。