【開催報告】 第40回SBP経営者朝会 (2023/4/21)

今回はSBP朝会としては約40カ月ぶりとなるリアル開催とオンラインのハイブリッド形式での実施となりました。SBP朝会初のハイブリッド運営にご参加頂いた皆様のご協力とご理解に感謝申し上げます。
今回は「新たなソーシャル・プラットフォームと共創」をテーマに2名の若手起業家の方にご登壇いただきました。

原田久美子様(株式会社A-Co-Labo 代表取締役CEO)

代表取締役の原田久美子氏は、研究スキルを持つ人々が社会において新たな活躍の場を見出すことをテーマに、株式会社A-Co-Labo(エコラボ)で活動しています。自身の研究経験を生かし、多様な分野において研究者たちが活躍できる環境づくりに尽力しています。

若手研究者の雇用問題

現在の日本の研究界では、若手研究者の64%が非正規の雇用形態にあり、正規雇用への移行率は6.3%にとどまっています。また、企業において博士号取得者の割合も4.4%に過ぎず、研究を職業とすることが困難である状況が問題視されています。このような状況から、若手研究者が研究を諦めたり、キャリアチェンジが困難になることもあります。さらに、悲しい事例として、研究者が自ら命を絶つケースも報告されています。

この深刻な社会問題を解決するため、2020年にA-Co-Laboが立ち上げられました。A-Co-Laboでは、若手研究者のキャリアアップ支援や企業との協業支援など、研究者たちが社会で活躍するための様々な取り組みを行っています。

株式会社A-Co-Laboの事業内容と取り組み

株式会社A-Co-Laboは、研究開発特化型のナレッジシェアを軸とした事業を展開しています。200名以上の研究者が登録しており、研究者と社会をつなぐ取り組みをしています。A-Co-Laboは、研究者の成果を社会に還元することで、社会に貢献することを目的としています。研究者が諦めずに研究を続けることができるように、研究費の獲得や企業との協力を行っています。

A-Co-Laboは、企業の新規事業において研究者の知見を活用するためのサービスに力を注いでいます。企業では、新しい技術や知見が必要であるにもかかわらず、研究者との共創が浸透していない状況があります。A-Co-Laboは、専属のプロジェクトマネージャーが研究開発特化型のナレッジサービスでマッチングだけでなく、その前後もケアすることで、プロジェクトの進行を円滑にします。また、企業の課題に合わせて研究知見の活用方法を提案するだけでなく、アイデアの段階から事業化までのサポートを提供し、ライトな連携から異分野連携の創出、専門性のサポートまで幅広く行っています。

現在、A-Co-Laboは国内外に200名のパートナー研究者を抱え、70件のプロジェクトに関わっており、コンサルティング会社や調査会社、専門商社とも連携し、プロジェクトの円滑な進行を支援しています。

A-Co-Laboの幅広いサポート体制

A-Co-Laboは、多岐にわたる業界に対して、知見提供や技術調査、保有技術の棚卸し、アイデアコンペなどの支援を行っています。特に、ある企業に対しては、プロダクト化の課題に対する支援を行いました。この企業は、プロダクト化のための研究開発の進め方が分からず、人材採用のポイントも把握できていませんでした。そこで、A-Co-Laboはプロジェクトマネージャー(PM)を選定し、研究計画の策定や研究データの取得、さらには人材採用の要件定義やサポートなどを行いました。その結果、短期間でプロダクトのローンチに成功しました。A-Co-Laboは、クライアント企業の課題に対して、幅広いサポートを提供し、プロダクト開発やビジネスの成功に貢献しています。

A-Co-Laboが目指す社会

A-Co-Laboは、社会経験のある研究者3人によるコーディネーションによって、企業が直面する課題に適切に対応できるという特徴を持っています。現在の日本の研究環境は複雑化し、若手研究者のキャリア形成にも課題がありますが、A-Co-Laboは研究者と企業の関係構築において、そのハードルを下げることで生産性の高い研究エコシステムを実現しようとしています。特に、専門性が高すぎることで企業が研究者そのものをリサーチしにくいという問題に取り組んでおり、研究者の見せ方を変えることで、より多くの企業との関係構築に貢献しています。A-Co-Laboは、社会的な課題解決に貢献するとともに、産学連携を促進し、日本のものづくり産業の発展に貢献しています。

伏見崇宏様(ICHI COMMONS株式会社 代表取締役)

伏見さんの社会的インパクト投資への取り組みと課題解決の挑戦

伏見さんは大学時代に社会的な課題に興味を持ち、高校生向けのサマースクール「HLAB」を立ち上げました。その経験から、日本のNPOやソーシャルセクターに興味を持ち、「社会的インパクト投資」の領域に進出しました。地域の工場で働いたことがきっかけで、日本の社会的な問題に強い危機感を抱き、東北地方の社会起業家を支援することで、社会的な課題を解決するための投資の重要性を再確認しました。2015年、海外の大学の学生と共に、上場企業の業界にNPOを作り、上場市場のお金の流れを変えようとしましたが、日本の企業の情報開示が不十分であるため、商品化に失敗しました。伏見さんは、社会企業や地域のNPOにお金が流れる仕組みを作りたいと考え、東北で社会起業家を支援しました。しかし、2018年の資金調達において、外資系の金融機関には資金がなく、日本にはインパクト投資の市場がないという現状がありました。また、どこにNPOがいるのか分からないため、NPOが1,200団体しか存在しないという問題もありました。地域の課題を解決しようとする人々がいるにもかかわらず、その人々にお金が回らない問題を伏見さんは解決するため、日本における社会的インパクト投資市場の発展を目指しています。

共助共存のマッチングプラットフォームの立ち上げ

伏見さんは、誰がどこで何を行っているかが分からないためにお金が回らないという問題に気づきました。しかし、実際には、個人間で寄付や法人寄付などの形でお金が流れていることが多いと分かりました。また、企業としても「NPOに寄付したい」、「社会的事業と連携したい」と思っているが、どこと連携すればいいか、そしてどこが信用力があるかが分からないという現状、さらに日本のNPOの実態調査がなく、人も物も金も足りず、情報を更新する余裕がないため、人も金も集まらず、企業との連携率も低い(8%)ことがわかりました。そこで、伏見さんはこの流れを見える化するために会社を立ち上げ、共助共存のマッチングプラットフォームを作りました。このプラットフォームでは、企業ユーザー、社会的事業、そして関連する個人ユーザーに着目し、企業としても 「NPOに寄付したい」、「社会的事業と連携したい」というニーズを満たすことを目指しています。

マッチングプラットフォームの概要

伏見さんが立ち上げたマッチングプラットフォームは、NPOや社会的事業に対して企業や個人ユーザーが寄付や支援を行うためのものです。このプラットフォームには、具体的にどのような介入が行われるかや寄付がどのように使われるかなどが詳しく明記された企業や個人ユーザーが登録できます。また、企業ユーザーは社会課題に対する取り組みを投稿でき、48の社会課題に紐付けた投稿も可能です。

社会課題や地域課題のデータの不足と解決策

社会課題や地域課題についてのデータが不足しており、それによって企業や社会的事業が寄付や取り組みをする先が分からずにいるという課題があります。そこで、このプラットフォームにて社会課題や地域課題にまつわるデータを集め、47都道府県別にランキングすることで、どの地域でどのような活動が行われているかを見える化しました。また、取り組みを見える化するために、企業や社会的事業の動画インタビューを行い、投票することで良い取り組みを決定する仕組みも導入されています。ふるさと納税や寄付に関する仕組みも提供され、企業や社会的事業が課題解決に従事する人々への寄付が可能になっています。

サービスの目的と最終的な目標

伏見さんはこのサービスが社会課題の解決に繋がり、参加者の認知向上にも繋がることを目標としています。48の課題については、多くの人が同じ課題だと感じる程、社会的課題であるとされています。最終的に、共助共存を目指して、お互いに手を繋いで課題解決に向けて取り組むことが大切であると考えられています。