【開催報告】第11回 SBP主催 経営者朝会(2014/08/22)

SBP事務局の田辺です。8月22日(金)に第11回目となる経営者朝会を開催させて頂きました。多くの方のご参加を頂き、誠にありがとうございます。

今回の開催報告レポートは、ジャーナリストや大学講師としての顔を持ち、多方面で活躍される白河桃子様から寄稿頂きましたので、以下に掲載させて頂きます。

経営者朝会の会場の様子

経営者朝会の会場の様子

本日のテーマは「女性」

安倍政権の成長戦略のひとつとして「ウーマノミクス」が掲げられ、どこの企業でも「女性活躍推進」は課題の一つとされています。しかし、私が現場で知っている女性たちや若手女子社員、女子大生との温度差は非常に厳しいものがあります。

活躍してほしい政府や企業、しかしその前にさまざまな課題を抱える女性たち・・・両者の温度差を埋める試みを早くから続けている、お二方にお越しいただきました。

1. 株式会社はぴきゃり 代表取締役 金澤 悦子 様

20代女性社員の7割8割が将来のキャリアにたいして、不安を抱えている。私もよくそんな調査結果を目にします。また企業サイドも、そんな女性たちを「扱いが難しい」と嘆く。双方のミスマッチをどう解消すればいいのか?

「はぴきゃり」は20代~30代を中心とした働く女性の「出会う」「つながる」「成長する」場の提供を通じ、働く女性を支援しています

この事業を立ち上げた金澤悦子さんは、もとはリクルートのトップセールスウーマン。27歳で課長になり、同世代の2倍の年収を稼ぎ・・・しかし「心の中は真っ暗だった」といいます。男性なら順風満帆なのに、女性はここで悩む。まさにこれこそが女性なのです。キャリアや地位、年収だけがハッピーにつながるわけではない。

2、3時間の睡眠時間の生活で体を壊し、緩く仕事をする体制にして、今までなおざりにしていた同世代の女性たちとのつきあいも再会したら、みな同じことに悩んでいた。これが現在の起業のヒントとなりました。

なぜ、女性たちは男性とは違うところで悩むのか?

金澤さんは「女性たちはなぜブレるのか?」と三つの要因で説明してくれます。「インポスター症候群」「迷子になりやすい」「女性の人生は一寸先は闇」という三つのキーワードがあがりました。

インポスター症候群とは「女性は100%確信がないとOKできない」ということです。対する男性は5割の自信があれば、あとはハッタリでOKする。インポスターとは「詐欺」という意味だそうです。女性が「昇進を打診しても断る」理由はこんなところにありそうです。

「迷子になりやすい」のは全体をみて自分の立ち位置をつかむのが苦手ということ。「一寸先は闇」というのは、女性のほうがライフイベントに応じて人生が180度かわりやすいということです。突然の妊娠や配偶者の転勤などでせっかくのキャリアをあきらめる人がいかに多いことか。

女性たちは総じて「まじめ」です。だから「ブレる」し、自分のよいところを生かしきれない。金澤さんは90日間の「はぴきゃりアカデミー」などを通じて、女性たちの「望む姿」を明確にし、多くの人が転職、独立を選ぶのではなく、会社の中で成功していくそうです。

2. (社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤 洋子 様

「はぴきゃり」が現役の女性社員への支援なら、こちらはすでにママとなり、子育てのために退職した女性たちの第二のキャリアを支援する試みです。6割の女性が出産を機に退職する日本では、「現職女性たちの活躍」に加え、「主婦の再社会化」も大きな課題です。

(社)日本女性起業家支援協会では、ママ起業家の育成をめざす「日本ママ起業家大学」を始め、「ママのおしごとマルシェ」「ママアンバサダー事業」などを行っています。

近藤さんの目指すところは「F30人口を増やす」こと。F30人口とは「月30万円稼げる」という意味だそうです。しかしその仕事は「社会性」と「利益」のどちらも兼ね備えたものです。どちらもとりたいのが女性です。

大学でのカリキュラムでは企業とのコラボレーションで実際の課題解決を導入して学んでいきます。企業や行政とのマッチングチャンスも提供します。

がんばっているのに経営に弱く、視野が狭く、人脈等が限られている女性起業家がチャンスを逃している・・・そんな残念な事例を私も数多くみてきました。こうした弱点を克服するチャンスを提供してくれるのが近藤さんの事業です。

なぜママが起業なのか?と不思議に思う人もいるでしょう。時間の制約の中で働く「ママ」には「起業」という働き方が相性がいいのでしょう。復職したいと願う女性たちは多いのですが、24時間を企業に捧げる「男働きには巻き込まれたくない」という希望もあります。「自分で選べる働き方」をしたいのです。履歴書にブランクがある女性は「どんなに優秀でも、なかなか企業には採用されない」という指摘も坂東真理子昭和女子大理事長からありました。

眠れる戦力として「かつては優秀な社員だったが、子育てによる離職ブランクが長い」ママたちに企業サイドももっと注目してほしいと思いました。

私が先日インタビューしたある経営者は「女性の力を生かすことは当たり前。ゴルフだって右手だけでは打てない。打っても飛ばない。これからあらゆるリソースを使っていかなければいけない」と答えていました。

すでに女性たちの「自助努力」は十分になされていて、それを応援する試みも女性たちの手によって事業化されています。そろそろ企業や国の制度、そして彼女たちのパートナーが変わるべきときでしょう。

行政、企業、当事者である女性、三位一体で変わっていけば、長らく閉塞していた日本にも大きな変化がおこる。彼女たちのプレゼンを聞きながら、そう確信しました。

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以上、白河桃子様からの開催報告レポートでした。白河先生、ありがとうございます。

プレゼンターの皆様: 株式会社はぴきゃり 代表取締役 金澤悦子 様(中) (社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子 様(左) (社)日本女性起業家支援協会 理事 涼木ゆかこ 様(右)

プレゼンターの皆様: 株式会社はぴきゃり 代表取締役 金澤悦子 様(中)
(社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子 様(左)
(社)日本女性起業家支援協会 理事 涼木ゆかこ 様(右)

次回はSBPの1年間の総括ともいえるSocial Business Idea Presentationを11月29日(土)に品川女学院の講堂をお借りして開催予定です。

別途詳細のご案内させて頂きますので、どうぞご参加ください。