こんにちは。ウェブサイト更新担当の西川伸一と申します。
4月11日の経営者朝会に参加する機会を頂いたので、私の目線でレポートと感想をお届けいたします。
2014年4月SBPの経営者朝会の様子
私のような半分外部の立場から、感想を交えながらレポートをすることで、経営者朝会とはどういう場なのか、よりリアルに、分かりやすくなるのではないかと思いますので、少し長くなりますが、お読みいただけるとありがたく思います。
さて、今回の内容についてのレポートに入る前に、経営者朝会というのはいったいどういうものなのか、私の視点からご紹介したいと思います(コンセプト等について、くわしくは、団体概要のページでご覧いただけます)。
経営者朝会とは、SBPの活動のコアをなすもので、少々乱暴に、でも分かりやすく言えば「社会起業家やNPOリーダー」と「経営者」のマッチングの場です。
という場です。
双方にとってメリットのある形で(ひいては社会にとってメリットがある形で)、ソーシャルビジネスの進展や持続可能性の発展を目指すための場、と言えます。
社会的な課題というのものは、企業の中にも企業の周辺にも遍在しているものであるため、一見すると関係のない事業を経営している企業にとっても、そうした課題の解決がメリットとなることが多くあるようです。
たとえば、今回の「若者」というテーマでのNPOの活動は、企業の人材採用、人材育成、従業員の家庭内問題に対する魅力的なソリューションとして、企業に提供できることが浮かび上がっていました。こうした活動が、営利企業にとっての直接的なメリットとなることが、まさに「ソーシャル」な「ビジネス」ということで、とても興味深かったです。
経営者の方々にとっては、
といった現場の声を聞き、他の経営者たちによるディスカッションから気づきを得られる場となっているようでした。
なんらかの形で協働がかなうことになれば、社会的な問題の解決に企業として参加できるという価値もあります。
社会的起業家の方々にとっては、活動やソリューションを経営者に直接プレゼンテーションする場としての価値と、プレゼン後のディスカッションからうかがい知れる知見という価値が、参加のメリットになっています。
SBPでは、これまでに9回の経営者朝会を開催しています。参加団体も20を超えています。今後、このウェブサイト上で過去の朝会から生まれたソーシャルリーダーと企業の関係、その後の展開についても、レポートしていきたいと思います。
朝会が開かれたのは品川にあるグランドプリンスホテル高輪の1階のレストランでした。
テーマは、「若者」。
みなさん朝食をとりながら、理事である田口義隆の進行により、次のおふたりの話を聞く、というスタイルです。(このサイトの右下に表示されているパートナー企業やその他の企業の、経営者やリーダーたちが揃って食事をしているというのは、かなり衝撃的な図でありました・・・)
お二人とも、今回の「若者」というテーマで事業を展開されております。
「キズキ」は、不登校、引きこもり、中退経験者など社会でつまずいた若者の学習支援を行うキズキ共育塾などを運営しているNPO法人です。
安田さんの、ご自身がドロップアウトしていた時期やその後の経験から事業を立ち上げるに至った話は印象的で、16歳の頃の安田さんの写真が紹介された時には、会場内からも「おお〜」という声が上がっていました。
安田さんからは、ドロップアウトする若者の実態として、
といった話があり、事業内容として
があると説明がありました。
その後、ディスカッションが行われ、経営者の方のお一人から、ご自身の家族にもニートがおりその子との関係の築き方について課題に思っているがどうかという質問や、自分自身もドロップアウトの経験があることなどが語られました(大きな会社を作る人というのはこういう風にオープンに話しをするのだなぁと思いました)。
「向き合ってくれた先生とか大人がどのくらいいたのかが重要だった」という他の参加者からのコメントもあり、安田さんからは「普段からいろいろな家庭と接しているが、すごく優秀な大人でも、子供のことになると難しいのかなと思うことがある。親子ではない、学校の先生と生徒でもない関係の中で、子どもの自己肯定を促しながら家族を捉えられるようにしている」という話がありました。
情報発信については、ウェブサイトやFacebookのページ、Twitter(@npo_kizuki)活用されているので、チェックしてみてください。
講師とインターンの募集もしているようです。
【RT願】「塾講師やってみたいな…。」そんなあなた、NPO法人キズキで始めませんか?講師未経験者も大歓迎です。応募はこちらからどうぞ。http://t.co/wo7cpA2GNq
— NPO法人キズキ (@npo_kizuki) April 16, 2014
【インターン募集】「より多くのドロップアウトを経験した若者の助けになるように、一緒に頑張る仲間を募集しています。」http://t.co/lfKdHEFueN
— NPO法人キズキ (@npo_kizuki) April 14, 2014
すべての若者が社会的所属を獲得し「働く」と「働き続ける」を実現できる社会を目指して、ニートやひきこもり、触法青年に代表される若年無業問題に対して、就労支援のプログラムを開発/提供しているNPO法人です。
理事長の工藤さんも自己紹介から始められて、小さな頃からの生活環境が、ご自身と同様に、多くの方を家庭内に迎え入れるサポートを行っていたこと、米国留学された際に先進国における若者問題とそのマーケットについて学んだことをお話されていました。
その後、現在の行政の状況やデータをもとにした失業者・無業者の実態について説明をしていただきました。
そのなかで、私にとって印象的だったのは、「行政で若者に対する所得の再分配の仕組みは無い」「地域活動の中でも若者は貢献をする立ち位置はあれど、助けられる対象としては想定されていない」「特定非営利活動法人の活動20分野にも若者に関する活動は無い」という部分でした。
そもそも「若者」の問題について具体的に認識していなかったので、その上、いろいろな形での支援が不足していることが問題化されるとは思わず、認識を改めました。
民間と無業者との関わりでは、たとえば鑑別所から出てきた若者を、かつては中小企業が雇用し、社会とのつなぎとして機能していたそうです。そうした、ソーシャル・キャピタルとしての役割が、中小企業そのものの減少などを原因として、現在では少なくなってしまっているそうです。
企業とこうした無業者とを、別の形で繋ぎ直すことが、就職難と言われつつ、働く人を探している企業もたくさんあるという現在の社会での、育て上げネットの役割のひとつということです。
育て上げネットが企業と協働したいこととして、
を挙げていました。
順調に高校や大学を出て、いわゆる普通の就職活動をして就職した人たちよりも、インターンを通じてうまくマッチングして就職に至れば、どこかでドロップアウトを経験している人たちの方が離職率が低く、会社に対するロイヤリティも高くなる、というデータがあるそうです。
企業の採用方針として、ストレーター(大学を4年で卒業して就職し、3年以上会社に勤めている人)を採用することに大きな価値を置いているのでなければ、育て上げネットが企業に(社会に)貢献できることは大きいだろうということです。
会場の後方から拝見していたところ、何人かの経営者の方の顔が上がって関心をもっていらっしゃいました。就職難と言われつつ、人材不足もあり、こうしたマッチングは需要があるのだろうなと感じられた一瞬でした。
その後、以下の方法についてディスカッション、フィードバックが行われました。
情報は、ウェブサイト、Facebook、Twitter(@sodateagenet)でも発信されています。
育て上げネットではインターンの募集もしているようです!
【若者支援の志を共有できる仲間を募集】2014年度契約職員を募集いたします。若者の自立を社会投資ととらえ、将来の社会リターンとなることに信念を持って活動してくださる方のご応募をお待ちしております。詳しくはこちらhttp://t.co/xZY9qs1kYS
— NPO 育て上げネット (@sodateagenet) April 20, 2014
育て上げネットのウェブサイトはこちらです。
今回、経営者朝会に参加させていただいて、大変興奮しました。
経営者が集まり、そこに社会的な課題が与えられて、その解決に取り組む人たちがプレゼンテーションする、というのは見ていて、シンプルに面白いです。視点が、経営的な視点からであったり、家族の一員としての発言であっても、みんなが感じていながらなんとなく言いづらいような、それでいて本質的な話に近づくのが早いなぁ、と思いました。
若者というテーマについても、登壇者からの「今、ここにいらっしゃるみなさんに、前科のある人に電話してくださいと言っても、いなかったりするんです」という指摘があったように、私も問題が見えない場所にいたのだなということが分かりました。
個人的な話としては、私も小さな会社でインターネットを使った仕事をしておりますが、今後の生き方について考えているタイミングで、こうした機会をいただけて、とても参考になりました。また、レポートしていきたいと思います。