【開催報告】第22回SBP主催経営者朝会(2017/04/21)

4月21日(金)、第22回目となる経営者朝会を開催させていただきました。今回の会場は、UBSグループ東京オフィスの会議室でした。いつもはトップクラスのホテルが会場となっているため、朝の清々しさの中にもどこかゆったりとした雰囲気がありますが、今回は大手町。東京のビジネス街のど真ん中ですので、肌寒さが残る4月の早朝にピリリとした緊張感がありました。

今回のテーマは、「ソーシャル・ビジネス マネー&インパクト」。「ソーシャル・ビジネス」が進化しています。社会性の追及はできても利益は必ずしも高くなく、スケールアウトが難しいといわれていたソーシャル・ビジネス。今、社会インパクトと経済性の両立を果たし、より質量高いソーシャル・ビジネス・インキュベーション環境を整えようという試みも始まりました。

プレゼンターをお務めいただいたボーダレス・ジャパンの鈴木雅剛さんとボーダレス・ハウスの李誠一さんの取り組みは、SBPの理念である

  • ソーシャル・キャピタルの提供により、
  • 社会問題を解決するアクションを、
  • 持続可能なビジネスへと発展させる支援する

と全く一致しております。SBPとしては「我が意を得たり」ではありますが、そこにとどまらず、ますますミッション「社会更新」とビジョン「能動的社会の実現」に向けて、ギアを上げていかなければならないと確認できた朝会となりました。

プレゼンター

1.株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 鈴木 雅剛  (すずき まさよし) 様

 

2004年、横浜国立大学大学院卒業後、株式会社ミスミに入社。就職前より起業を志し、「共にやった方が速い」と、同期入社の田口一成(現:株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役社長)と共に2007年に株式会社ボーダレス・ジャパンを創業。
現在同社は、「ソーシャルビジネスしかやらない会社」として、世界6ヵ国8拠点で10事業を運営。2016年度の売上高予測は約30.6億円。ボーダレス・ジャパンは、貧困問題、環境問題、差別・偏見の問題など、世界中で山積する社会問題を、継続的・発展的に解決する社会起業家集団。国内・海外を問わず、社会問題を解決したいと志す者が、ビジネスの実力を養い、資金・人財を駆使して、社会問題の解決を進められる「社会起業家のプラットフォーム」として、今後も次々と事業を創出し、世界を変えるインパクトを生み出し続ける。
http://www.borderless-japan.com/

2.株式会社BORDERLESS HOUSE 社長 李 誠一  (り せいいち) 様

大阪生まれの在日韓国人。2004年株式会社ミスミに入社。2011年同期入社の田口、鈴木が創業したボーダレス・ジャパン入社。国際交流をテーマとした多国籍シェアハウス事業の代表として、2013年ソウル、2015年台北で同事業を立ち上げ。現在国内80棟、海外43棟 計123棟を運営中。さらなるグローバル展開と次なるコミュニティ事業を計画中。
http://www.borderless-house.jp/

内容

1.株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 鈴木 雅剛  (すずき まさよし) 様

鈴木雅剛さんは、「今朝寝坊してぎりぎり朝食会に間に合った」と、会場を和ませてからプレゼンをスタート。最初のスライドで、創業者の田口一成さんと鈴木さんが坂本龍馬の墓前で撮った写真を示し、2人は「坂本龍馬の志に憧れ、1人でも多く1人でもたくさんの人の状況を、1秒でも早く変えにていきたい」という決意を示されました。

ボーダレス・ジャパンは、簡単に言えば「ソーシャルビジネスしかやらない」会社。ソーシャルビジネスの定義は「社会問題の解決・仲間の幸せ・家族の幸せを、事業を成功させてすべて手に入れる、同時に実現する」であり、「どんなに儲かろうとも、ソーシャルビジネスしか扱わない」と鈴木さんは力強く仰いました。

ボーダレスジャパンは当面、1000事業、売上1兆円の達成を目標にしています。そのような大きな目標を掲げる理由を鈴木さんは以下のように説明されました。

「社会問題は数えきれないほどあり、1つの事業だけでは少しの人しか救えない。1000事業、1兆円という大きなインパクトがないと、見向きもされない。僕らは他から真似されるようにならないといけない。真似されるようになれば、その社会問題への解決のスピードは上がる。そんな働き方、会社の在り方、家族の在り方、ハッピーな生き方をしないといけないからです」

また、社会起業家の成功条件は、志、ビジネスノウハウ、仲間、資金を持っていること。これらを社会起業家に提供して、成功スピードを速める。そのためボーダレス・ジャパンでは国内拠点を3か所、韓国、台湾、ミャンマー、バングラデシュ、中国にもオフィスを構え、さらにトルコにも拠点を開発中です。

それぞれの拠点、事業に共通する思想は、「ソーシャル・インパクトを生み出すこと」。社会の欠陥や不条理で苦しむ人々の本質的な課題をどう解決したか、その指標を①対象人数の大きさ、②変化の大きさ、③継続性、で示します。特にソーシャルビジネスでは③が大切。当事者が自立して自分でやっていけるようになるためです。
2017年の目標は新規10事業の創出、です。

2. 株式会社BORDERLESS HOUSE 社長 李 誠一  (り せいいち) 様

株式会社ボーダレス・ハウスでは、外国人に対する差別、偏見を解消することを目的に国籍に捉われず、外国人と共に暮らす国際交流のシェアハウスの運営を行っています。日本では未だに、留学生を始めとする外国人を受け入れる体制が十分に整っているとは言えません。「人が自分のルーツや国籍によって可能性を制限される社会であってはならない」という、李さんの、そしてボーダレス・ハウスの理念を起点として、同社が実際にどのような事業を行っているかをご説明いただきました。

同社では、外国人への差別・偏見の解消を目的として、多国籍のシェアハウスを企画し、不動産の転貸借を行っています。李さんは、海外から日本に留学に来た留学生(特に日本が大好きで、日本語を勉強するために短期の語学学校等に通う学生)は、二つの問題に直面していると仰いました。

一つ目は住居の問題。日本に滞在する外国人は大勢居るにも関わらず、外国人に部屋を貸すことを渋る大家さんが多くいるため、留学生は部屋を探すことが困難であること。

二つ目は、現地コミュニティとの交流の問題。日本で語学学校などに通う留学生は、先生以外の日本人と関わる機会が少なく、せっかく日本に来たのに、日本人と知り合うことが難しいこと。

この二つの問題に対し、海外でも長期で安心して住める住居と、現地人とシェアハウスをすることで現地コミュニティとの交流促進を図ったのが、ボーダレス・ハウスです。

昨今、多くのルームシェア事業がある中で、ボーダレス・ハウスは三つの強みから他との差別化を図っています。一つ目は、商品力。外国人入居を認めるだけではなく、外国人と日本人が半々であること、英語を勉強したい日本人のために英語圏の人を一定の割合入れるなど、入居者全員の需要が満たされるようになっています。

強みの二つ目は、国際交流をしたい人だけが集まるという点。入居前にスカイプ面接などで審査をすることにより、国際交流を目的にしている人のみが集まるため、入居者同士の交流も活発となります。

三つ目は集客力。ポータルサイトに頼ることなく、自社サイトで、シェアハウスの様子や住人の情報を公開することによって、そのシェアハウスで、そこにいる住人たちと共に生活したいという人のみを集めています。

ボーダレス・ハウスのソーシャルインパクトは、約8000人の入居者にあります。国籍を超えた友人がいる人こそが、国家間の紛争にストップをかける、国家間の問題を友人のいる国と自分の国のこととしてより真剣に考えられるようになる。したがって、こうしたグローバル市民を増やすことが大事であるという考えから、今後もソーシャルインパクトとしての居住者人数にこだわっていきたいと李さんは仰っていました。

(ボーダレス・ハウスHPより)

今後の展開として、地域参加型のシェアアハウス作りや母子家庭の貧困問題の解決に取り組まれるそうです。母子家庭は精神的、経済的困難を伴うことが多いため、シェアハウスをすることで孤独感をなくし、保育園や幼稚園への送り迎えや入居者全員の夕食などを提供することにより、コストを削減すると同時に、母親がフルタイムで正社員として働けるようになります。このように、差別・偏見に対し、住まい、コミュニティ作りの点からアプローチして、コミュニティ事業でソリューションを起こし続けるという、熱く頼もしい一言で李さんのプレゼンテーションは締めくくられました。

質疑応答では、「社会起業家はどのように集めるのか」、「投資の仕方はどのようなものを考えているのか」、「行政と今度かかわっていくのか」などといった意見が出され、会場は最後まで盛り上がりました。