【開催報告】第17回SBP主催経営者朝会 (2016/04/15) 

4月15日(金)に第17回となる経営者朝会を開催させていただきました。ところどころまだ桜の花が咲き残る品川の地にたくさんの方々にお集まりいただき、おかげさまで今回も盛会のうちに終了いたしました。誠にありがとうございました。

4月15日第17回経営者朝会は、「デザイン・テクノロジー・福祉」をテーマに開催させていただきました。今、革新的なデザイン・テクノロジーにより人の能力を引出し、新たな価値を創造するリーダーお二人のお話を伺い、ソーシャルとビジネスの協働を考えるきっかけとなりました。

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【プレゼンター】

1. 株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉 様

1989年生まれ、岐阜県中津川市出身。立命館大学経営学部在学中の2010年、(株)ミライロを設立。障害を価値に変える「バリアバリュー」の視点を活かし、企業や自治体、教育機関におけるユニバーサルデザインのコンサルティングを手がける。2014年には日本を変える100人として「THE100」に選出される。2015年より、日本財団パラリンピックサポートセンターの顧問に就任。
http://www.mirairo.co.jp/

2. 株式会社ウォーターデザイン 代表取締役 坂井 直樹 様

京都市出身。1966年京都市立芸術大学入学後、渡米。日産Be-1、PAOなどのパイクカー・ブームを作る。

auの外部デザインディレクターとしてauのデザインオリエンテッド・カンパニーの基礎を作る。“誰もやったことがないからこそ、やる価値がある。今、世の中に無いものを作ることにデザインの役割がある。”を信条に、エモーションからイノベーションをデザインし、ニュースタンダードを生むコンセプター。現在アンチエイジング・プロダクト(杖やEV車いす)の開発に情熱を注いでいる。また2017年春アムステルダムに支店を準備中。元慶應義塾大学SFC教授。
http://water-design.jp/

【内容】

1. 株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉様

ミライロはバリアフリーのコンサルティングを行う会社であり、その理念は「障害(バリア)を価値(バリュー)に変える」という、「バリアバリュー」です。

この理念が生まれた背景には、垣内俊哉さんの生まれにあります。垣内さんはプレゼン開始早々、「わたしは骨が折れやすいという魔法にかけられて生まれました」とおっしゃり、会場を爆笑の渦に。まさに「バリアからバリューに」のスタートでした。

一人で歩きたいという夢を持ち、何度も手術をし、リハビリを行いました。結果として、その夢は叶っておりませんが、その経験から垣内さんは自分の時間が自分だけのものではない、だから歩けなくてもできることをしていこう、という思いに至ったと仰っています。
その垣内さんが大切にしてきた言葉は、「人生の長さを変えることができなくても、人生の幅は変えられる」。この言葉を胸に、垣内さんはミライロを設立しました。

バリアフリーが必要なのは、障害を持つ方だけではありません。移動に不自由をしている人は高齢者、子育てをしている人、などを含め人口のおよそ3割にも上ります。さらに、この人々を補助している周囲の人々を含めると、多くの人がバリアフリーにより利益を得ることができます。

また、垣内さんは社会にある、3つのバリアを挙げました。

  1. 環境のバリア
  2. 意識のバリア
  3. 情報のバリア
    です。

歩けないこと、目が見えないこと、耳が聞こえないこと、それ自体は障害ではない。大多数の人々に合わせて作られた環境が障害、バリアとなっている。この大多数の人々に合わせた環境、大多数の人々の意識、大多数の人々が障害者の人に向き合うこと触れ合うこと、が必要になります。

「ハード、環境を変えるのは難しい。だからこそ、人々の心、ハートを変えることが重要になる。ハードは変えられなくても、ハートはすぐに変えられる」と、垣内さんは訴えます。

バリアフリーは、これから先も続けていかないといけないことです。今までは社会貢献という捉え方をされていましたが、お金をかけて続けていくということは一つのビジネスとして取り組んでいくべきものだ。そして、バリアフリーが他のサービス差別化をされて選ばれる理由になる。

「高齢化社会が進んでいる日本だからこそ、ユニバーサルデザインを取り組んでいきたい」
という言葉で垣内さんのプレゼンテーションは締めくくられました。

質問では、「高齢者の方への電話の対応はどのようにしたらよいのか」、「私たちが障害を持つ方とどのように向き合っていったらいいのか」などといった質問が出ました。

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2. 株式会社ウォーターデザイン 代表取締役 坂井 直樹様

2人目のプレゼンターはWater Design代表取締役の坂井直樹さん。これまで日産で「Be-1」を生み出し、auでも外部デザインディレクターを務めるなど、さまざまな企業で「コンセプター」としてご活躍なさってきました。また、企業だけではなく慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス:総合政策学部、環境情報学部)の教授をなさっていた経験もあります。

プレゼンテーションの冒頭ではこれまでの自身の45年間を振り返り、その仕事の中で生み出してきた作品を短いスライドショーで紹介して下さいました。多くの説明を加えるのではなく、
「ビジュアルだけで大体の説明がつくという意味では、デザインの仕事はなかなか面白いですね」
と、納得の一言でした。

今回のプレゼンテーションの本題は次世代の「杖」。皆さんは介護犬にいくらくらい費用がかかるかご存知でしょうか。介護犬1頭につきおよそ300~500万円ほどかかるそうです。

「それなら犬にできることをデジタルの杖で代替してみたらどうだろう?」そう考え、次世代の「杖」の開発へと至りました。

これまでの杖はアナログでほとんど進化してきませんでしたが、坂井さんの「杖」には様々なテクノロジーが詰め込まれています。目が見えなくても、道路に埋められている黄色い点字ブロックのコブを端末が認識し、進むべき方向を「杖」がバイブレーションで使用者に教えてくれます。さらに、「杖」の先端にはカメラライトが付いていて、どんな暗闇でも認識します。また、信号をカメラで認識することも出来ます。

それだけではありません。使用者の位置情報のデータをサーバに送信し、どこを歩いているのか使用者の家族にもすぐに分かるので安心です。そして、これまでの段階では点字ブロックの色を認識するに止まっていましたが、現在は形態認識の開発も進めている最中だそうです。

昨年できた非常に小さい最新のマイクロコンピューターのおかげで「杖」の軽量化とコンパクト化に成功しました。

「『杖』の原価は約1万円。定価5万円で販売することも可能だと考えている。この事業を引き受けてくれる企業はないか、またそのような企業を知らないだろうか」坂井さんは会場に呼びかけました。

高齢化が進む日本、また日本だけでなく中国でもいまや10%以上が65歳以上であるといいます。
「日本から世界へこのようなテクノロジーが広がればすばらしいことだ」そう考えてこれまで開発を進めてきました。

質疑応答の際には、「斬新なデザインはどこから生まれてくるのか?」という質問に対し、「デザイン屋さんというのは、大量にものを見る。そして頭の中にデータベースのようなものがあり、そこにその情報を溜めておく。クライアントからオーダーがあった時にそれがポンと弾けるのだ」と回答。デザイナーの才能を垣間見、会場の方々は皆さん感嘆されている様子でした。

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