【開催報告】第16回SBP主催経営者朝会(2016/02/19)               

2016年2月19日(金)、第16回となる経営者朝会を開催させて頂きました。今回も多くの会員のみなさまにご参加をいただき、会場は満席。さらに追加の席をご用意しなければならないほどの盛会となりました。誠にありがとうございました。

今年第1回目の経営者朝会は、「地域活性化・地方創生」をテーマに、社会的意義がきわめて高い取り組みを展開されている2名のプレゼンターをお招きしました。

同窓会の幹事代行をビジネス化し、人生のネットワークを温めるだけではなく、Uターンをはじめとする地方創生にも寄与する。あるいは、地元の農業・漁業・加工・工芸品などのカタログギフトをギフト市場に参入させることによって、地産地消も地産「他消」も活発にさせるビジネス。まさに若い起業家たちによる地方創生の現場を伺うことができました。

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【プレゼンター】

1. 笑屋株式会社 代表取締役 真田 幸次 様

学習院大学経済学部卒業後、2006年4月より株式会社フルキャストにて子会社立ち上げに従事。入社2年目で支店長・営業マネージャーを歴任。その後、独立系ベンチャーキャピタルにて「ビジネススクール事業部」を担当。2009年1月に笑屋株式会社を設立、同年5月より創業。30歳大同窓会イベントなど、同窓会を軸にしたコミュニティビジネスを展開。
https://syoya.com/about/

2. 株式会社地元カンパニー 代表取締役  児玉 光史 様

長野県出身。実家はアスパラ農家。東京大学農学部卒業後IT企業に就職、4年後にフリーランスに。結婚式の引出物カタログギフト「地元ギフト」を皮切りに、出身地を元気にしていくことが当たり前になる社会をめざして2012年に創業。Uターン人材の採用支援やマルシェ等のイベント企画など全国に展開。
http://www.jimo.co.jp/

【内容】

1. 笑屋株式会社 代表取締役 真田 幸次 様

真田さんが経営する笑屋は、同窓会に関連するサービスに特化して事業を展開しているのが特徴の会社です。

「同窓会を通じて、再会とコミュニティの創出を行う」ことが笑屋のミッション。同窓会での再会をきっかけとして、仕事や結婚に繋がり、人々のライフスタイルを豊かにすることができる、という利点があるからです。同窓会にはそのような力があり、笑屋ではそれを拡大させるような活動をしています。さらに、同窓会と言っても、小中高、大学の同窓会のみならず、企業や、その他人々が所属していたかつてのコミュニティを対象に扱っていらっしゃいます。

具体的な事業は2つ。1つ目はリアルでのイベントの代行です。基本的に同窓会にいらっしゃる方の会費だけで運営するため、幹事への負担はありません。同窓会の年齢や地域、その学校の偏差値などもセグメントできるため、ピンポイントで特定の集団にアピールしたい企業がスポンサーになり、同窓会の会費も安くすることもできるそうです。
2つ目は同窓会のネットワークの管理です。さまざまなSNSが機能しているいまの世の中において、それらを統合して可視化して、維持します。SNSのみならず、ハガキなど従来のアナログの連絡手段も用いることで、同窓会へ最大限の人数の参加を見込めます。

地方創生の一手段として、地方自治体からも笑屋に関心が寄せられています。というのも、定住者としてIターン層を狙うのは、他の自治体との競争もあり困難になりますが、Uターン層を狙うとしたら、その地域に興味を抱いてもらうという最初の段階をショートカットできるという利点があるからです。現在、笑屋では成人式の同窓会のみならず、30歳の同窓会を「三十会(みとえ)」と名付けて地方自治体と、地方のイベントの一つとして設立しました。さらには、この活動を通じて若年層のふるさと納税への興味を抱かせるという効果も期待しています。

再会を通じて、年を経るごとに希薄化していくコミュニティを活性化させると同時に、これをさらに継続させて成果をデータとして出していくことが今後の笑屋の課題です。

プレゼンテーションのあと、質疑応答が行われました。「その他SNSとの差別化はどこでできるのか」「SNS、その他の手段で連絡ができない人に対してはどのようにすればよいのか」「会費を回収する手段は簡素化できないか」「実際の地方創生のデータはあるのか」など、たくさんの質問が提示され活発な質疑応答となりました。

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2. 株式会社地元カンパニー 代表取締役  児玉 光史 様

児玉光史さんのプレゼンテーションは、「私の人格は地元である長野県上田市のアスパラ農家と東大野球部で培われた」というユニークな言葉で始まりました。会場は爆笑、いいアイスブレイクになりました。

4年間IT企業での勤務を経験したのち、児玉さんは仕事を辞め地元上田市の復興のために立ち上がりました。とはいえ、当初は実家のアスパラを都内で手売りしていたものの、効率が悪く何か違うことをしたいというわだかまりを抱えていました。そんな中、結婚式のカタログギフトが児玉さんの目に留まり、疑問がわいてきました。「なぜカタログギフトには日本製の品がないのか?」。児玉さんは、上田の「地元」でとれた野菜やコメや果物など「旬のもの」を紹介するカタログギフトを作成する決意を固めたのです。その他にも、地元長野を元気づけるため、都内で働く長野県出身者のUターン促進も行っています。

全国1700の自治体中、現在は30の自治体と提携中。児玉さんの挑戦はまだスタートしたばかりです。協力者は地方創生に努める人をクラウドファンディングという形で集めています。ギフトカードも、今やその数は200にのぼります。地元長野から徐々に協力自治体を増やして最終的には10兆円とも言われるギフト市場をつかみたいと児玉さんは熱く語ります。オリジナリティーを出すために地域をまたいでコラボレーションしたカタログギフトなども作成し、工夫を凝らしています。カタログギフトは、法人の株主優待やセールスプロモーション等、使い方は多岐にわたっています。

また、地方へのUターンを促すためには高校生までに地元への意識を植え付ける必要だ、と児玉さんは仰います。そのためにカタログの作り手を紹介するカード化し、その作り手カードをいわば「教材」として教育現場でも使ってみる。そうして地域とそこに住む子どもたちとの接点を生み出すことが出来るようになる。将来的には10万枚ほどの作り手カードを作りたいと児玉さんは考えています。
今必要なのは顧客と資金と人財、つまり全部だと語ってまた大爆笑。笑いのうちにプレゼンテーションを締めくくりました。

質疑応答では、「教材を通じて提携企業に継続的に貢献できることは何か」「商品の発掘・物流の整備はどうしているのか」「資金調達はどうしているのか」などの質問が出ました。

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